みつばちの体は、花から集めたみつや花粉を運ぶために、「蜜胃」や「花粉だんご」といったみつばち独特のものを持っています。 また、皆さんよくご存知のように「毒針」もあります。 これらについては次項で詳しく説明します。
● 西洋みつばち(働き蜂)の体の図
● みつばちの毒針のつくり
蜂は、外敵から身を守るために「毒針」を持っています。
毒針は産卵管の一部が変化したものと考えられており、毒針を持っているのは雌だけです。 みつばちの場合、働き蜂は雌ですので、巣作り、みつ・花粉集め、育児に加え、毒針を使った防御行動までを行っていることになります。
毒針は、蜂にとって外敵を攻撃するための有効な手段です。 しかし、毒針には右図のようにギザギザした「かえし」がいくつもあるために、一度刺してしまうとそこから抜くことができず、蜂の体から引きちぎられます。 みつばちは、刺すことで自らを死に追いやることになります。
蜂に刺されないようにするには | 蜂に刺されたら |
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黒い衣服や騒音、動きの速いものに反応します。 蜂に出会っても、むやみに追い払ったり走り回ったりせず、静かに蜂から離れるようにしましょう。 また、においにも反応します。化粧品や香水などに注意しましょう。 | 針が残っていたら抜き、抗ヒスタミン剤をつけて水でよく冷やします。 痛みが取れなかったり、はれたりした場合は医療機関を早めに受診しましょう。 |
蜂毒の利用「蜂針治療」とは
みつばちの蜂毒は天然の抗生物質です。
蜂針治療とは、みつばちの針と蜂毒を利用した療法で、肩こり、神経痛、リューマチなどに効果があるといわれています。
● みつばちの蜜胃
みつばちは、みつや花粉を集めるために巣の外に出かけます。では、どうやってみつや花粉を巣に持ち帰るのでしょう?
人間であれば、バッグや袋を用意しなければなりません。しかし、みつばちは体の中に蓄える場所を持っています。 花粉については次項で説明しますので、ここでは、みつの運び方についてご説明しましょう。
みつばちは、「口吻」と呼ばれるストローのような口で花のみつを吸います。 そして、吸ったみつは腹部の「蜜胃」(一時的にみつをためる場所)にためて巣に持ち帰ります。 この蜜胃は出かける時はほとんど空っぽの状態で、巣に戻った時にはみつでいっぱいになっています。 みつを持ち帰ったみつばちは、巣の中で働くみつばちに口移しでみつを渡したり、巣房へ移し変えたりします。
花蜜からはちみつへ
みつばちが花から採集したみつ(花蜜)の主成分はショ糖ですが、巣に持ち帰ってためるときには、ブドウ糖と果糖に体内で分解されます。
そして、巣房の中の水分を蒸発させて濃縮したものが「はちみつ」となります。
はちみつが詰まった巣房は、蜂ろうで薄いふた(蜜蓋)をして微生物の混入を防いでいます。
● みつばちの後ろ足
みつばちにとって、花蜜は炭水化物、花粉はタンパク質・ビタミン・ミネラルなどの大切な栄養源となります。 巣に戻ってくるみつばちをよく観察してみると、後ろ足に黄色い丸いものがついています。 これが「花粉だんご」です。
一般的に、みつばちは花蜜と花粉が両方採集できる花へ訪れることが多く、花蜜を吸っている間に、頭部から腹部に生えている無数の毛に花粉が付着することによって自然に集められています。
● 花粉だんごをつけたみつばち
みつばちの体についた花粉は、主に空中で飛びながら、後ろ足にある「花粉かご」とよばれる部分に丸められ「花粉だんご」となり運ばれます。 花粉だんごは、みつばちによって大きさもいろいろで、訪れる花によりその色もさまざまです。 巣に持ち帰った花粉だんごは、巣房の中に貯えられて保存食となります。
花粉だんご1個を作るには
どれだけの花を訪れると1個の花粉だんごができるのでしょう。花の種類によって花粉の量もいろいろです。
一つの花でできる場合もあれば、多数の花を訪れないと作れない場合もあります。
いずれにしても、みつばちはその環境に応じて訪花し、みつや花粉を集めます。
豊かな環境であるほど、みつばちもよく働き、多くのみつや花粉を集めることができます。
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