「はちみつの歴史は人類の歴史」ということわざがあるように、みつばちと人類は古くから深い関わりを持ち続けてきました。 自然環境の大切さ、集団生活の大切さ、みつばちから学ぶことはたくさんあります。 みつばちについては、世界中で多くの研究がされており、資料もたくさんあります。 「みつばちのダンス」ではノーベル賞をもらった学者もすでにあります。 そこで、通常の養蜂をしながら気の付いたこと、学ぶところをまとめてみました。
● メドーセージとみつばち
女王蜂 | 生まれたときから女王蜂。 同じ親である女王蜂の産んだ卵であっても、育てられる場所と食べ物の違いにより、体格、習性、成長して役割が異なる。 人間だと「氏」より「育ち」というところか。 何匹かの新女王は同時期に生まれる。 生存競争により、早く生まれた者は後からの者を殺してしまう。 新女王が順調に誕生しない場合の予備として生まれた次女王であるのに、非情ながらも自然の摂理の一面か。 新女王が母親の旧女王を殺したりはしないし、旧女王は巣別れにより群の大半を連れて巣から出て行くので争いはない。 |
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働き蜂 | 生まれながらの働き蜂。 メスであるが中性。 掃除当番から蜜の採集までの多くの仕事をするが、生後の日数により役割が異なるし、特別によく働く者もいれば適当に働く者もいる。 あまり働きの多い時期は早く死ぬことになる。 通常、外敵に対しても攻撃や争いは仕掛けない。 巣が外敵(天敵、盗蜂等)に襲われたときは、命を賭けて戦うし、死を恐れもしない。 戦争の放棄はみつばちの憲法にはない。 働き蜂はまた、時に応じての予備としての機能を持ち合わせることになる。 |
雄蜂 (オスバチ) |
生殖のみがその仕事。 通常ぶらぶらしているが、秋になり不要になると巣から追い出される。 生殖を終えた雄蜂には死が待っている。 いつも死と隣り合わせというところか。 |
働き蜂の産卵により 生まれ育った 第4の蜂 |
女王蜂が不慮の事故で死んだとき、変成王台により変則的な新女王が養成される。
しかし、これにも失敗した群は巣の中は卵がなくなり、働き蜂が卵を産み始める。 この卵は、女王蜂にも働き蜂にも雄蜂にもならない。 蜜のみを消費し、やがてこの群は放置すれば絶えてしまう。 これは無能なリーダーしかいないのに、有能なリーダー卵の投入を怠ったどこかの人間組織に該当するのではないか。 |
はちみつ | 完成されたはちみつは、時間が経っても結晶以外の変化はしない。 完成度の高い食品である。 |
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蜜蝋 (ミツロウ) |
はちみつを原料としてみつばちの蝋線から作られる。 ハニカム構造は、軽量で強いことから工業的にもヒントとして用いられている。 蜜蝋は燃やしても公害となる物質は出ない。 |
蜂の子 | はちみつと花粉を食して育つ「蜂の子」は、良質なタンパク質を含む食品となる。 |
ローヤルゼリー | 不老長寿の秘薬。 「生命の神秘」として広く知られている。 副作用などの薬害はない。 |
プロポリス | みつばちの秘薬として、その効果は最近特に知られつつある。 もっとも2千年以上前から知られていたにもかかわらず、今日話題となるところが面白い。 |
蜂毒 | 人間のいろいろな病との関係でツボと称するところがある。 蜂針による蜂毒の利用や、2千年もの昔に肩こりに利用する絵が残されている。 |
食用花粉 | みつばち花粉として知られ、ローヤルゼリーの原料となるみつばちのタンパク質としての食料。 みつばちは6千万年の進化の中で覚えた。 |
花粉交配 | 果樹などは、みつばちの花粉交配による恩恵とともに蜜や花粉を与える。 それにより風が吹かずとも果物は実る。 ギブ・アンド・テイク(Give and Take)。 人権屋のテイク・テイク(Take・Take)は見習うべきではないだろうか。 |
みつばちは太陽や花のあるところで蜜を採取し増殖することが可能。 毒入りの水、毒ガスには弱く即時に死亡する。 「蜂の子」から「はちみつ」に至るまで原則無公害。 何一つとして地球を汚染するもの、環境を汚染するものはない。 昔から霊虫として、聖書の中でも出てくる。 昆虫の星、地球での人間にとっての昆虫の王者としてたたえられるべきものと思う。
● 巣箱の周りを飛び交うみつばち
以上、人類の歴史と共にあった、はちみつとみつばち関連のことを思いつくままにまとめてみました。 思い違いや間違った観察があるかもしれません。 このサイト内の掲載内容で、すでに研究された方の文献も参考にさせていただいたことをお断り申し上げます。 お気づきの方があればご指導、ご助言をいただければ幸いです。
1999年2月13日
【みつばち牧場オーナー】
河合養蜂園 河合 進
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